2002/09/01UP


阿武隈の車窓を楽しむ

 今夏、阿武隈急行に乗って福島に向かってみた。 白石市や大河原町で会議などがあって槻木方面にはたびたび利用していたものの、 下り線に乗車するのは今回が初めて。本紙で東北地方のローカル線の特集の1つに阿武隈急行を取り上げることになったため、「一度乗車してみないことには」と 一時間ほどの小旅行を思い立った。◇クリーム色の車両に乗り込み、窓際の席に腰を下ろす。平日の昼間とあって、車内はむしろ閑散としている。ぼんやりと外を眺めていると、 丸森を過ぎ、列車は県境へ。断続的に現れるトンネルが途切れ、開けた視界に阿武隈川の流れが飛び込んでくる。見慣れたはずの景色も車窓を通すとなぜか新鮮に写るから不思議だ。 帰宅途中の高校生や買い物客らしき女性らで車内がにぎわいを増したと思ったら、終点が間近に迫っていた。◇普段、移動手段はほとんどが自家用車。突発的な事故でもあればすぐに帰らなければならないから、 ダイヤに縛られる列車やバスを使うことはまれだ。今回も福島市での滞在はm分程度。慌ただしい日程ではあったが、鉄路特有のリズミカルな振動と美しい景色を楽しめただけでも収穫だった。旅の極意は目的地に 着くことでなく移動そのものを楽しむことにあるそうだ。車窓と一緒に流れていくゆったりとした時間をまた阿武隈急行で味わってみたくなった。