2006/07/01UP
梅と広場
◆…「梅花の里」のPRに努める角田市。例年、梅の収穫時期となると、豊室地区の農家におじゃまして、収穫作業の様子を紙面で紹介させてもらっている。青々とした梅の実がびっしりと木に連なっているようすを見ると、梅干しや梅酒を連想してしまい、ついお腹の虫が騒ぎ出す。食いしん坊なので、食べ物絡みの取材は何となく楽しい。◆…25日には、角田の梅を販売する「うめー梅まつり」の取材に行った。一升ますによる梅の積め放題でおなじみのイベントだが、今年の会場は、いつもの「商栄駐車場」から、 今年4月にオープンした中央広場に移動した。商栄駐車場は会場としては狭く、ごみごみとした印象だったが、今年は新しくて広々とした会場に移り、にぎわいぶりも昨年以上だったように感じられた。◆…ところが、この中央広場。普段は人の姿があまりない。市に確認したところ、4月9日のオープンイベント以後は、今回の梅まつりが初めての催しだという。緑あふれる居心地のよい空間というわけでもなく、がらんとした広さばかりが目に付き、どこかもの悲しい。◆…市によると、広場用地は元々図書館の移転先として取得され、その後紆余曲折を経て「中心市街地活性化計画」の中に位置付けられ、「市民が自由に集まれ、市民の憩いの場とする」となった。 また、災害時の避難場所として、防災機能も果たすという。◆…目的はいいとして、事業費を聞いて驚いてしまった。約4億5000万円も掛かっている。 内訳は用地購入費が約3億9000万円、施設整備費と設計委託料で約6000万円だという。 ちなみに、土地の広さは4300平方だ。◆…自分の買い物歴を反省してみると、欲しくて欲しくて買ったはいいが、そのうちしまいっぱなしでホコリをかぶる ―ということが多い。「また無駄遣いして」と妻に叱られ、肩身の狭い思いをするというのがお決まりのパターン。本当に必要に迫られて買うのではないからなのだろう。◆…市によると、今後、ふるさと夏まつりや菊花展、クリスマスイベントなどに利用される予定だという。 だが、年に数回しか利用されないかもしれないのであれば、「必要に迫られて」とは言えないだろう。取得した土地の有効活用を迫られたという事情があったのかもしれないが、市民からすれば、「4億5000万円が投じられ、あの中央広場ができた」という結果だけがある。◆…とはいえ品物のように返品できるわけでもなく、文句を言うのも今さらという感じもする。無駄遣いと小言をもらわないように、4億5000万円分、しっかりと活用していくしかない。