2006/02/01UP
◆…まさかこれほどとは思っていなかった。一月十四日の夜、角田市内で行われた「裸参り」に参加した。誘われるまま、「伝統文化に触れるのもたまには面白いかも」と気軽に返事をしてしまった。「本当に寒いんだから」という忠告も、新参者への脅し半分だろうと、たかをくくっていた。当日は、雨降りというあいにくの天候。雨が降るぐらいだから、気温で見ればさほど低くないのだろうが、体の芯から冷えてくる。歯の根が合わない寒さというが、それを身を以て体験するハメになった。◆…雨の一滴一滴が肌に突き刺さる。初めてなったふんどし姿の気恥ずかしさもどこへやら。学生時代、真冬の北アルプスで遭難しかけた時もこれほど辛くはなかった。商店街の店先で上げる「ヤーホイホイホイ」の掛け声。大声を出すと体が温まることを初めて知った。「途中棄権もみっともないしなぁ」と迷いながら、列についていくのが精一杯だった。◆…辛いことばかりでもなかった。途中の休憩所では、地元の人たちが温かいそばや豚汁の差し入れを準備して待っていてくれた。有り難さにちょっぴり涙が出そうになる。一杯の汁物、乾いたタオル、雨をよけられる軒先、たき火の温もり…。 厳しい状況だからこそ、日ごろ忘れがちな色々なものへの感謝の気持ちと「あるがたみ」を思い出させてくれた。◆…ぬるま湯にばかり漬かっていたのでは逆に体調を崩す。まさに冷や水を浴びせられたわけだが、背中に固い棒を入れられたようで、だらけた心までしゃっきりとさせてもらった。読者のみなさんも、来年は一緒に歩いてみませんか。