2005/12/01UP
優先順位
◆…支局の建物が老朽化し、あまり居心地が良くないので、たまに角田市図書館を避難場所として利用させてもらっている。 冷暖房完備でお金もかからず、本でも雑誌でも自由に閲覧できる。毎日でも通いたい、と言いたいところだが、残念ながら快適空間とは言い難いのが現状だ。◆…現在の建物は1971(昭和46)年6月1日に利用開始されたというから、もう30年以上が経過し、施設の老朽化は否めない。窓際に置かれた閲覧用のイス一つをとっても、座面のビニールが破れ、ガムテープの補修跡がなんとももの悲しい。本来の機能である蔵書については施設の古さと無関係だが、ゆっくりと本に親しめる空間づくりを重視した図書館が各地に増えているだけに、市図書館の見劣りは否めない。◆…もし、新しい図書館ができるなら、と考えてみた。子どもたちには寝ころびながらでも本に没頭できるスペースを (現状でも畳敷きの絵本コーナーがあって、これは素晴らしい)、お年寄りには顔見知りとの談笑も許されるような閲覧コーナーを、中高生には静かで明るい勉強机を。個人的には、ガラス越しに庭でも眺めながら、お尻や腰が痛くならないようなソファーで時間を忘れてページを繰ってみたい、などとおもう。◆…しばらく前には建物を新築する計画があったが、財源の問題や市内部での方針変更などがあり、白紙撤回されたという。佐藤清吉市長は「老朽化は承知しており、丸森町との合併が実現していたら合併特例債を使って整備する考えだった。 財政的に厳しく、現時点で図書館の新築は予定していない」と話す。@中島保育所の建て替えA高齢者向け市営住宅の整備B金津中の耐震補修―と、 施設整備関係で優先すべき事項が多く、図書館整備にまで手が回らないのだという。◆…小泉首相が以前語っていた米百俵の精神(最近は聞かれなくなったが)ではないけれど、 教育を重視してこそ人が作られ、国が作られる。図書館も広い意味で教育の一環である。道路整備などと異なり市民の要求が伝わりにくく、優先順位が下がりがちなのかもしれないが、文化や教育関連は別格だ。ここに重点投資するのは一つの見識だろう。 図書館を大切にしている自治体というのは、それだけでまちとしての格が上がる。◆…とはいえ、ない袖は振れないのも分かる。観光物産館建設の財源不足を補うため、北東北のある市では市民から寄付金を募って建設したという事例もある。やれない理由よりも、やれる方法を市民みんなで考えたい。