2003/06/01UP
知名度をめぐって
先日、丸森町で市町村合併についての説明会があるというので取材に出かけてみた。 町幹部が全国の状況や諸手続きを説明した後、出席した町民と質疑応答するというもの。 「小さな町が単独のままで生き残れるのか」といった推進派と思われる発言から 「辺境の町が中途半端に大きくなっても展望がない」といった慎重論まで、 町民の生の声を聞く好機になった。論議の中心は角田市との合併が念頭にあったこともあり、 ある出席者の「角田と比べて丸森の露出度は高い。せっかくの知名度が合併で下がってしまうのでは」 との発言に、一人の角田市民として複雑な思いになった。◆私が所属する角田支局は角田市、 丸森町が管内だ。当然、自治体の単位だけでなく、なるべく広い地域を紙面で紹介するよう心掛けている。 振り返ってみると、両自治体の原稿は本数でみればほぼ同じようなバランスを保っている。でも、 人口比では角田、丸森はほぼ2対1。それを加味すればマスコミへの露出度でみれば丸森は人口当たりで2倍高いことになる。 そういえば同僚のテレビ記者と会う機会も圧倒的に丸森が多い。確かに、「マスコミへの露出度」と いう観点からすれば、丸森に軍配が上がるのかもしれない。◆「大崎地方に次ぐ県内第2の穀倉地帯」の一方、 「大規模な誘致企業に支えられた工業都市」。多彩な角田の表情は、都市としてはむしろ均衡がとれている。 でも、丸森には残念ながらそれがない。むしろ、「ない」からこそ町を挙げて外に向かって必死のアピール活動を続けてきた。 そして積年の努力は着実に結実している。マスコミへの登場頻度なんかは、その尺度の一つでしかない。 一番の成果は、先の発言で分かるように、対外的に注目される故郷になったことに、 町の住民一人ひとりが「自信」と「誇り」を持てることなのだと確信した。