2024/12/1UP


誰向けの政治?

 先月の衆院選は政権与党にとって厳しい結果となりました。とりわけ宮城県内は惨敗といえる状況。「政治とカネ」を巡る問題は、想像以上の大きな風となりました。当選された新人議員は今後、落選した前議員と比較されることもあると思いますが、信念を持って国政で活躍してほしいと思います。 ここでの活躍とは「地元のため」に活動するということではありません。国政選挙では、どの議員も「地元のために頑張る」と話します。しかし、私個人としては、地元ではなく国のために頑張ってもらいたいところ。国会議員は国防や外交、経済などについて方向付けるのが仕事であり、地元への利益誘導を図る存在ではないからです。 今回の選挙でも「あのトンネルは私が…、あの道路も…、あの事業の予算は…」と実績を語る候補がいました。法整備などを議論する中で、一部の地域や人々が取り残されたり大きな不利益を被ったりしないように調整することは求められても、果たして地元事業に深く関わることが国会議員の役割なのでしょうか。予算を獲得したことを誇るのではなく、国の在り方や将来についてどう行動してきたのかを語ってほしいと感じます。 一方で、地元に対する貢献度、つまり地元への利益誘導を住民側が求めてしまっているのも事実。上記の議員の支持者も「先生だから予算が確保された」と口にします。確かにそうなのかもしれませんが、それがあるべき国政の姿なのでしょうか。かの吉田茂は総理大臣のとき、地元高知県からの陳情を「私は国の代表者であって、高知県の利益代表者ではない」と言って断ったと言います。 先日、角田市内の商店街の活性化策を考える「かくだ商店街ミーティング」が行われました。その中で、古き良き商店街への再生を目指すことよりも、新しい挑戦を受け入れる土壌、応援する空間が大切という話がありました。政治の世界も同様。予算獲得をはじめとした権力を背景とする旧態依然とした支持拡大ではなく、社会に新たな風を吹き込み、青写真を描いて支持を得る。そのような政治家が増えることが、長期的に見て地域社会の発展につながるのではないでしょうか。
市幹部らにプレゼンする
角田高家庭部の生徒たち(奥)