2024/6/1UP
消滅…?
経済界有志らでつくる民間組織「人口戦略会議」が4月、全国自治体の持続可能性を分析した報告書を公表しました。2020~50年の30年間で、東北は全体の7割を超える165市町村で若年女性(20~39歳)の人口が50%以上減少すると推計し、自治体の存続が困難な「消滅可能性自治体」としました。
宮城県内では19自治体が消滅可能性自治体と指摘され、残念ながら角田市も含まれました。角田市の人口は2020年の2万7976人から2050年に1万6575人と推計。そして若年女性人口は2184人から871人。なんと60%減るとしています。人口減少は全国的な問題で、今に始まったことではありません。当然、角田市だけで解決することは難しく、そもそも角田市だけが改善すればいいという性質のものでもありません。 昨今は各自治体で子育て世帯などに対する支援を手厚くする傾向が強まっています。自治体間競争が激化している状況は、若い世代を支える仕組み構築に向けた動きとして歓迎すべきとは思います。ただ、「減りゆくパイの奪い合い」となってしまう現状には、個人的に違和感も覚えます。どこかが増えれば、どこかで減ってしまうわけなので、社会全体としての課題解決にならないためです。
もちろん、地域の人口維持に腐心することは不可欠です。一方で、少ない人口でも豊かな生活を送れる環境を維持していくこに取り組む必要があると感じます。先日、知人のオーストラリア人が仙台を訪れていたので酒を酌み交わしました。話を聞くと、案の定、日本の物価は安くてありがたいとのこと。豪州の最低賃金は日本円で2000円を超えており、さぞ活気のある国かと思ってしまいます。しかし、実は人口はわずか2500万人程度。ちなみに国土は日本の20倍。もちろん、豪州なりに課題を抱えていると思いますし、安易な比較をすべきではありませんが、日本としては人口減少をことさら嘆く必要はないように感じました。
と、書き連ねましたが、前述の「豊かさ」とは何かは分かりません。コンパクトシティー的な発想も必要かもしれませんが、そもそもとして物質的豊かさとは違う考えもあってもいいかもしれません。外国製スポーツカーに憧れている自分が言えたことではありませんが。