2022/11/1UP


少子化とよそ者

 先日、丸森小学校で学習発表会がありました。3年生が披露したのは同町大内地区の伝統芸能「青葉の田植え踊り」。町の「ふるさと学習」の一環で、地元保存会が学習をサポートしてきました。発表会で笛を吹いた前会長は、子どもたちが一生懸命に伝統芸能に取り組んでくれていることに目を潤わせて感謝。少子高齢化の影響が、伝統文化・芸能の継承に影を落とす状況を垣間見た気がします。   振り返ると、最近取材させていただくことが多いのが小学校関係です。内容は少子化に伴う統廃合に絡んだもので、あまり喜ばしい話題ではないのが残念…。角田では枝野小と藤尾小が来年度に統合し、丸森はすでに8校を2校に再編しました。「数年、十数年後はどうなっているのだろう」と危機感が募りますが、取材中は子どもたちの元気な笑顔に気持ちが救われます。 角田の人口は今年3月末時点で約2万7500人です。直近ピークは1990年の約3万5000人なので、約30年で2割以上減少した計算になります。予測では約20年後の2045年には2万人を割り込みます。 では、これからどうするのか。ノスタルジーな気分で昔は良かったと言っていても何も変わりません。大きな箱物を作って解決することもないでしょう。現実的には人口減少と付き合い、今持っている物事を生かしていくことが求められているのかもしれません。そして、積極的に「よそ者」を受け入れていくことも必要に感じます。  8月のかくだ牟宇姫夏祭りで活躍した角田高校の生徒たちに、市長から感謝状が贈られました。商工会青年部は、高校生による売上金をプールし、10年後に角田で花火大会を復活させたいと考えています。将来、大人になった高校生が「自分たちの花火大会」と感じるだけでも地元への愛着が増すと思います。これも今できる範囲の中での活性化策と言えるのではないでしょうか。  「よそ者」と言えば、地域おこし協力隊の存在がいます。角田にも数名いますが、お隣の丸森では30人以上が活動しています。最近まで知らなかったのですが、普段取材でお世話になっている丸森の方々が移住者で、20、30年前に東京や千葉などから来たというのも少なくありません(協力隊ではありませんが)。皆さんそれぞれが事業をしたり、地域活動の中心を担っていたりしています。若い人たちの活動が、未来の日常になる。そんな物語が見えてきます。  最後に、自分で書いていて違和感を覚えたのが「移住者」という言葉。地方から東京に行った人を移住者とは言わないので、もっとフラットな意識を持っていこうと思います。上記の丸森の方々も移住者ではなく、地元の住民ですので。