2021/12/1UP


カレーなる単身生活

 気がつけば、カレーばかり食べています。取材エリアの角田市、丸森町内には、街中や田園の道沿いにちょっとしたカフェがあり、それぞれに個性的で味わい深いカレーがあります。仕事の合間に立ち寄れば、ほぼ必ずカレーを注文するようになりました。さらに両市町には、ご当地レトルトカレーにも逸品があります。単身生活の貴重なお供です。支局兼自宅の茶棚には、常に2種類のカレーパックを大量にストックしています。 その一つが、角田市産の農畜産物をふんだんに用いた「かくだのカレー」です。発売元は、黒毛和牛の肥育を手掛ける市内の森谷畜産。昨年9月から市内の産直広場あぐりっと、道の駅かくだの店頭に並び、翌月に河北新報朝刊県内版のコーナー「いちおし土産」で紹介しました。ずしりと舌に響くような辛みが自分の好みに合っており、仕事が忙しくて昼食にありつけなかった空腹時の夜、無性に食べたくなります。上質な牛肉だけあって、やわらかさや味も申し分なく、レトルトにしては割高な価格設定にも納得がいきます。タマネギやジャガイモ、ニンジンなどの具材も「オール角田」。記事には、森谷畜産代表の「角田の食材を食卓で話題にし、だんらんを楽しんでほしい」との言葉を盛り込みました。単身の食卓なのでだんらんはありませんが、黙々と味わいを楽しませてもらっております。 もう一つ、常備しているレトルトカレーは、丸森町耕野の農産物直売所「いなか道の駅やしまや」のオリジナル商品「感動の一日四尺たけのこカレー」です。耕野地区特産のタケノコが入っています。話題が多い地区なので、取材で訪ねる度に同店で買い込みます。かくだのカレーよりは、さらりとした辛みで、それがタケノコのシャキシャキとした食感や甘みを引き立てているように感じます。ちょっと小腹がすいた昼などによく食べます。 さて「自分で料理はしていないの?」と思われた方もいるかもしれません。答えは「湯を沸かすことと電子レンジで温めること以外、ほとんどしていません」です。2年前に角田支局へ赴任した時点で、夜も7時過ぎまで仕事することが多いだろうと考え、調理器具はほとんど用意していませんでした。 ある取材で市内の農家を訪ねた際、トマトをいくつか頂戴したことがありました。「包丁がないので、どう食べていいのか…」と言ったところ、「包丁もないのか」と驚かれました。その後、市内の飲食店に行ったら、店主から「包丁持ってないんだって? 使ってないのあげるよ」と言われ、今度はこちらが驚かされました。家に包丁がないことがニュースのように広まっているとは…。「包丁がないということは、まな板も持ってないんです」とはさすがに言えませんでした。 包丁もまな板も今は支局にありますが、角田、丸森の恵みをレトルトカレーで楽しむ生活はこの先も続きます。


かくだのカレー

感動の一日四尺たけのこカレー