2020/2/1UP


1月の定番

 1月中旬になれば毎年、いくつかの定番ニュースが新聞紙面を大きく飾ります。その一つが成人式です。角田市では12日にかくだ田園ホールでありました。式典が終わった後も、隣接する市民センター内で、振り袖や羽織りはかま、スーツ姿の晴れやかな新成人たちが旧交を温めていました。そうした中、休憩スペースのテーブルに向かってノートを広げている高校生ぐらいの若者もいました。受験勉強をしていたのだと思います。17、18日には大学受験センター試験が控えており、最後の追い込みだったのでしょう。そのセンター試験も1月の定番ニュースです。秋田総局に勤務していた20年前、センター試験会場となっていた秋田大キャンパスで取材したことがあります。1日目の教科を終えた時点での手応えを聞こうと声を掛けた女子生徒は半分泣いていました。思うように問題が解けなかったようです。それでも「2次試験に向けて頑張るほかない」と気丈に語ってくれました。涙をこらえながら「前向きな記事にしてください」と言っていたのが印象に残っています。本社の整理部に在籍していた昨年の1月、レイアウトを担当した面で、センター試験日程終了の記事に見出しをつけることになりました。その記事が載る新聞には、センター試験の解答が数ページにわたって特集され、受験生は最終的な志願先を決めるための自己採点に臨みます。見出しは、大手予備校がかつて広告に出したキャッチコピー「自分の夢まで自己採点しないでください」のようなメッセージ性のあるフレーズにしたいと考え、20年前の女子生徒のことを思い出しながら頭をひねりました。「志望校の夢は塗りつぶしたくない」センター試験はマークシート式なので解答は選択肢の番号を鉛筆で塗りつぶしますが、志望校への希望まで黒く消し去ったりはしないぞ、という意気込みを表現したつもりでしたが、どうでしょうか。受験生が一人でも共感してくれれば幸いです。思えば自分が受験生だった頃の1月、阪神・淡路大震災がありました。家が被災し、試験本番を前に勉強ができなくなった受験生も多くいたと思います。ひょっとしたら、成人式の日に市民センターで勉強をしていた若者も台風19号で自宅に被害があり、家以外に試験対策の場を求めていたのかもしれません。あくまで推測ですが…。1月の定番ニュースがもうひとつ。どんと祭です。角田では14日に裸参りがありました。下帯姿の一行も参拝客もいろいろなことを祈願したと思います。無病息災、家内安全、五穀豊穣、商売繁盛、受験合格、早期復興…。被災で夢や志を塗りつぶすことがないようにと願ってやみません。


市民歌を歌う新成人

どんと祭で市内中心街を練り歩く裸参りの一行