2019/9/1UP
君の名はラブレター
「名前は、一番短いラブレターだと思う」
筆記具メーカーのCMで使われたフレーズです。いつごろ見たかは忘れましたが、胸にすーっと染みました。インターネット上でCMが公開されていたので、もう一度見てみました。愛情と期待を込めて考えたわが子の名前を、親が母子手帳や学用品、合格祈願の絵馬、下宿先に送る小包の伝票などに書き込む光景が描かれています。
角田市や丸森町の広報に、産まれた赤ちゃんや誕生日を迎えた小さなお子さんを紹介するコーナーがあります。親のどんな思いがこもった名前なのだろうと考えながら読むようになりました。イベントや学校の取材で児童生徒に話を聞き、名前を尋ねることがあります。ふりがながなければ読むのが難しい名前も多いのですが、将来へのいろいろな期待が詰まったラブレターだと思うと心が温まります。
人のラブレターを読むなんて趣味が悪いと思われるかもしれませんが、今回はご容赦ください。
さて、私の名前は「賢心」と書いて、そのまま「けんしん」と読みます。名刺交換をすると相手から「すごい名前ですね」とよく言われます。名付けたのは母親です。特に意味は込められてはなく、「けんしん」という読みにしたくて漢字は後からあてはめたそうです。
「この名前で良かったな」と思ったのは就職活動の時です。面接官が名前に興味を持ってくれます。そこで母に付けてもらったことなどを的確に答えることができた時は「いい印象を持ってもらえたな」と手応えを感じたものです。母に感謝しています。
河北新報に入社して間もない頃には、ある国会議員に「政治家向きの名前だな」と言われたことがありました。どういう意味なのでしょうか。深く考えないようにしています。
政治家と言えば、角田市ではこの夏以降、選挙が続きます。参院選が7月21日に終わり、市議選(9月8日告示、15日投開票)を控えています。それが終われば県議選(10月18日告示、27日投開票)です。投票用紙には、より良い角田をつくろうと意気込む立候補者の名前を書きます。一票は、角田の将来に期待するラブレターなのかもしれません。
心配なのが投票率です。前回(2015年)は65.1%で過去最低でした。過去の市議選投票率を調べますと、1999年に83.1%あったのが、2003年は74.8%と大幅に減り、07年が70.2%、11年が66.2%と、下落が止まりません。
投票箱に詰まった用紙の量が、市民の地元に対する愛情の量だとすれば、投票率の落ち込みには寂しさが募ります。立候補者の数次第で選挙戦になるかどうかの問題もありますが、市議選や県議選では、角田へのラブレターを書こうと多くの市民が投票所へ向かうことを期待しています。
7月21日の参院選で、角田市内分の投票箱を開ける市職員
8月7日に開かれた角田市議選の立候補予定者説明会