2019/7/1UP


宇宙とコラボ

 ご存じの方も多いと思いますが、河北新報角田支局は4月、角田字中島上から字町へ移転しました。新支局で感激したことがあります。窓からH2ロケットの実物大模型が見えることです。どういう風に感激しているのか、あえて言えば「東京に引っ越した人が、新居の窓からスカイツリーが見えたらうれしいのと同じ心境」でしょうか。角田の人に何度かそう説明し、苦笑いされましたが、こちらは本当にそう思っています。全国を探しても、住宅街の向こうにロケットがそびえ立つ街など恐らくありません。角田に長く住んでいれば見慣れたシンボルでも、市外から来て見る人にとっては印象に残るランドマークです。  新支局からの風景は、ロケットの手前にNTT交換所の鉄塔が大きく見えるところがポイントです。SF映画のような近未来的な雰囲気を醸し出しています。まるで宇宙基地のよう。近くの角田中央広場でその風景を見ると、公園という場所柄か、つい童心に帰ります。先日は「ここでウルトラマンと怪獣が闘ったら似合うだろうな」と想像してしまいました。サンダーバードのオープニングを心の中でつぶやいたこともありました。「ファイブ、フォー、スリー、ツー、ワン…」。台山公園からロケットが宇宙へ飛び立つ光景が思い浮かびます。  中央広場から商店街へ足を運べば、雰囲気はちょっと変わり、古き良き風情が残る街並みと近代的なロケットのコントラストが目に飛び込みます。ロケットが見えるお気に入りの風景を探す街巡りツアーなどがあれば、自分を含め市外から来た人にとってはきっと楽しいはずです。  角田という街の強みは、宇宙といろいろなコラボレーションができるということに尽きます。そういった点で、市内の若手農家や経営者らによる「夢☆宇宙米プロジェクト」に注目しています。5月4日に角田米の種もみが米国からロケットで宇宙へ飛び立ち、約1カ月後、地球に帰還しました。その種もみから苗を育て、7月7日に市内で田植えします。収穫したコメは「宇宙の角田米」になります。食卓を飾る日が楽しみです。実際の宇宙空間を巻き込んだ壮大な計画ですが、ふんわりと炊きあがったご飯を「口の中が無重力だ~」とでも言いながらほお張れば、遠い宇宙を身近に感じられるかもしれません。  来年度は、宇宙のまちの「本丸」とも言える宇宙航空研究開発機構(JAXA)角田宇宙センターへの注目度も高まります。H3ロケットのエンジン開発を担っており、来年度内の初号機打ち上げを目標としています。その頃に向け、地域で宇宙のまちを一層盛り上げ、角田産エンジンの活躍を後押ししたいものです。世界に角田の力を発信できる好機ではないでしょうか。自分ももっと勉強し、宇宙やロケットを少しでもアカデミックに語れるようにならなければと思っています。いつまでもウルトラマンやサンダーバードとしか言えないようではさすがに恥ずかしいので…。


カウントダウンすれば今にも発射しそうなロケット

ロケットと鉄塔