2018/11/1UP


市制60年に思う㊦

 角田市の市制60年記念式典が10月1日にありました。今まで市の発展を支えてきた皆様、そして今も尽力されている方に敬意を表し、一市民として心より祝福を申し上げます。誠におめでとうございます。  前回、「角田のまちづくりはテーマの核を絞り切れていない」と意見しました。角田は「5つのめ」(米、豆、梅、夢、姫)を発信しており、5つもの資源に恵まれているのは角田の豊かさを物語ります。それは素晴らしいことですが、キーワードが一見して何のことなのかすぐ分からない、説明を要する点は残念だと思います。新聞記事で、とりあえず見出しで何の話か分からなければ、読者のみなさんはいかがでしょうか?「分からないものは人の気を引く」「説明する過程に意味がある」といった考えもあるでしょう。ただ、本当に伝えたいことをどう伝えるか、絶えず工夫すべきです。道の駅には情報発信機能も持たせる構想ですが、何をどう発信する考えなのかな?と、素朴な疑問があります。  よく角田の人は「丸森は宣伝がうまい」と言いますが、私に言わせれば、丸森は宣伝がうまいというより、一生懸命ということです。山が多く、県の端で交通の便も良くない。昔は養蚕や林業が栄えましたが、今の時代では優位性にならない。必ずしもアピール上手とも、センスが格段に優れているとも思いません。打ち上げ花火に終わり、一貫した戦略にまとまっていないケースも少なくありません。ただ、危機感をばねに必死にトライしようとする姿勢に大きな違いがあると思います。  角田も人口3万を割り込み、少しずつ危機感が広がろうとしています。5めなら5めで、個々の資源の来歴や現在の意義を見つめ直す温故知新の作業を根本的にした方がよいのではないでしょうか。興味深いのが、仙南の児童劇団「AZ9」の舞台「牟宇姫とボクとあの殿様 角田治水史異聞」です。11月24、25日に田園ホールで公演がありますが、5めをうまく紹介し、エンターテイメントとしても楽しめます。私個人としては「角田は阿武隈川の賜物」がキーワードです。その点、AZ9の劇が阿武隈川の治水を底流にしていることに親和性を感じます。  人それぞれに地域との関わり合い、思いがあり、風土にはそれらのすべてが織り込まれています。構え過ぎる必要はありませんが、自らの地域を知り、人に伝えることは本来、とても奥深い営みです。


角田市制60周年記念式典

仙南児童劇団AZ9