2018/6/1UP
江尻排水機場の補修
江尻排水機場の補修実現が大詰めを迎えます。市と「あぶくま川水系角田地区土地改良区」が、国に2019年度の着工を要望しています。補修の応急対策と耐震化で合わせて約59億円の大事業。国が3分の2を負担し、市負担は約5億円が見込まれています。農林水産省の審査や予算の概算要求が通り、19年度に着手されれば8年間で完了する予定です。 農水省に角田出身の有力官僚がいる事情もあり、市政の懸案が前進に向けて正念場というわけです。
国営灌漑排水事業で1995年度に完成した江尻排水機場は、県内トップの排水量を誇ります。農地を守るだけでなく、広範な市街地の水防にとも不可欠で、角田の生命線と目される施設です。ところが、経年劣化のため排水ポンプの損傷が大きくなっています。レール上を水平移動して、たまったごみを取り除く除塵機も、劣化が目立っています。近年は地球温暖化やエルニーニョ現象の影響でしょうが、ゲリラ豪雨のように雨が集中的に降り、毎回のように「記録的豪雨」と言われ、まるで熱帯モンスーンのようです。とにかく対策は待ったなしです。
個人的には本来、治水事業として取り組まれるべきだったと思います。なぜ灌漑排水事業なのか疑問に思っていたのですが、当時を知る関係者によると、「三文字市長たち当局が、最初に農林水産省に補助事業を要望していて、途中から旧建設省に変えるわけにいかなかった、仁義を通さざるを得なかった」とのことで、ようやく経緯を理解した次第でした。
江尻排水機場はそもそも、藩制時代の角田館主・石川家による治水事業に由来します。伊達政宗の次女牟宇姫が嫁いだ石川宗敬公の時代で、400年前からの取り組みです。阿武隈川の逆流を防ぐための水門「江尻閘門(こうもん)」が最初です。江尻を守らないと角田全体を守れないことを知っていた先人の知恵に感心するとともに、営みの長さを感じます。
角田の子どもたちは小学校で江尻排水機場について学ぶそうですが、市全体で自分の地域がどうやって守られているかを知ることは大事だと思います。東日本大震災で地震対策が前面に出ていましたが、角田で最も考えるべきは阿武隈川の水害で、震災7年が過ぎた今、治水への関心を高める必要があるでしょう。
菜の花まつり
小田川の鯉のぼり