2017/8/1UP


いつまた、

 人気俳優向井理のお祖母さんが半世をつづった手記を原作にした映画「いつまた、君と 何日君再来」(深川栄洋監督)を見ました。戦前から戦後の混乱期を中心にした家族3代のヒューマンストーリーです。向井理が学生時代に手記を発見し、自費出版した経緯があって企画を手掛け、7年かけて映画化、自身も出演しました。野際陽子さんの遺作となったことや、母親役に尾野真千子などキャストが豪華な話題作でした。作品によると、祖父母は愛媛が出身ですが、中国から戦後引き揚げ、愛媛の村を出て暮らした中心舞台が、茨城県や福島県棚倉町となっていました。棚倉はかつて取材で行ったことがあり、勝手に親近感を持っています。  隣の丸森・耕野からの開拓移民など、昨年から満州関連の取材を続けていました。向井の祖父母が中国からの引き揚げの経験が満州ほどの地獄ではなかったのか、あるいは触れたくなかったのか(片桐はいりが演じる女性が、引き揚げ時に子どもを中国に置いてきたことで神経を病んだ姿がワンカットあり、満州引き揚げの体験者を取材したときの記録に重なるものがありました)、それほど深くは触れられていませんでしたが、それはそれとして映画を楽しみました。  東京都議選で自民党が歴史的な惨敗を喫しました。安倍晋三首相にとっては痛手で、今秋の臨時国会にも自民党の改憲案提出を目指していた憲法改定論議に大きな影響を与えることは必至です。ただ、改憲に強い思いを持っているのは変わらないでしょう。戦争体験世代が刻一刻と少なくなり、戦争の過酷さを肉感で感じている人が減っていき、問題に向き合うときの肌感覚が薄れることへの危惧を覚えざるをえません。それこそ「いつまた、」と思われる昨今です。戦争体験者には、よりいっそう勇気をふるって、周囲に語ってほしいと願います。もし、投稿があれば、随時、紹介したいものです(連絡先明記の上、郵送かFAX62-0707で支局に投稿ください)。  残念ながら、映画は角田ではなく、名取のイオンモールで見ました。悪い意味ではありません。興行コストなどの問題から、かくだ田園シネマには変わらずに名画座を続けてほしいと思います。吉永小百合の「キューポラのある町」をスクリーンで見たのは、私は昨年の田園シネマが初めてでした。水曜の日中はなかなかハードルがありますが、こちらも「いつまた、」見に行きたいものです。


茶道を体験する米国グリーンフィールドの生徒