2016/10/1UP


宇宙のまち角田、第二章

 9月12日は1992年に毛利衛さんがスペースシャトル・エンデバーに搭乗したことを記念して、「宇宙の日」に制定されています。これにちなんで4日、角田市内の台山公園で実行委員会主催の「はやぶさまつり」と、君萱地区にある宇宙航空研究開発機構(JAXA)角田宇宙センターの一般公開が、同時に開催されました。5月の「宇宙っこまつり」とともに、宇宙のまち・角田らしい行事です。  JAXAが昨年に開所50年を迎えたことを記念し、市と産業振興や教育に関する連携協力協定が締結されました。それに基づいて、JAXAの施設が立地する自治体で構成する銀河連邦に4月に加盟し、6月にはタウンミーティングを実施。北郷小の授業で、宇宙飛行士の大西卓哉さんが乗るロシアの宇宙船「ソユーズ」打ち上げ中継を研究員が解説するなど、ようやく地域資源を活用する取り組みが生まれ始めたところです。JAXAには東大や東北大など高学歴の研究員が多く、知的資源を地域に還元することは重要でしょう。  宇宙をテーマにしたまちづくりは最初、高山彰市長時代に盛り上がりました。当時は竹下登首相の「ふるさと創生」でばらまかれた1億円で、台山公園にH2ロケットの実物大模型が建てられました。ハード整備自体が必ずしも悪いこととは言えませんが、まちづくりとしての継続性は薄かったようです。本年度は台山公園のスペースタワー・コスモハウスに隣接して学習棟の建設が始まる予定で、来年5月の宇宙っこまつりに合わせたオープンを目指しています。学習棟整備は約5000万円ですが、科学教室や天文観察会、ロケットの打ち上げ時などに今はJAXAで行われているパブリック・ビューイング(PV)などを行うスペースで、教育目的のための拠点です。財政が厳しい時代の折から、ハードよりソフト中心で事業が進められていることは評価されます。  ある取材の際の雑談で、角田のまちづくりに求めたいことの一つとして、子どものいる若い母親が挙げていたのが、宇宙教育の強化でした。「角田の子は、宇宙の話になると『すごい』と言われるような教育をしてほしい」と言っていました。とても共感します。知の根源は「世界って何だろう?」という好奇心です。その最たる対象が宇宙です。理系、科学、数学だけではありません。宇宙を考える営みが哲学であり、小さな人間と不可知の神のような宗教も含まれます。分からないことがあるというのは、人間にとって最大の贈り物の1つだと私は思っています。分からないことがあるから分かりたいと思う、分かるために考えることが始まります。大人になると、分からないことが減るか、分からないことはそのまま分かりたいと思わなくなっていく。物わかりがよくなったようで、分かる範囲内で生きるのが楽になる。それが、老いというより、ふけるということだと最近思います。宇宙のまち・角田は、高齢化は進んでいますが、学び、知的活動の点でふけないまちづくりを進めるのもいかがでしょう?子どもの教育とともに、宇宙をより積極的にまちづくりのテーマに据えてよいと思います。分かりにくい文章でいつも申し訳なく思っていますが、今回はふけ防止と思って読んでいただければ。


JAXA公開日の一コマ