2013/6/1UP


交流再開を願って

 空の色がまぶしく田んぼに映える五月。各地で最盛期を迎えた田植えの記事が紙面を彩ります。先日伺った北郷地区では、東京・目黒区の小学生と保護者約30人が地元農家の方の指導を受けながらひとめぼれの苗を植えました。 「カエルってこんなところから足が生えてくるんだ」「そうだぞ。虫を食べてくれるからいいんだ」。都会の子どもたちにとっては自然に親しむまたとない機会。泥だらけになりながら、初めての田植えを思う存分楽しんでいました。 市内の北郷、西根、枝野の3小学校は「あぶくま農学校」の農業体験学習で、目黒区の緑ケ丘、月光原、上目黒の3校の5年生と相互交流を続けてきました。しかし、東日本大震災が起きた3年前から学校行事としての交流は中止。背景には、福島第1原発事故による放射能汚染の影響を強く懸念する一部の保護者への配慮があるようです。 今回北郷を訪れたのは、農家と10年来の付き合いがある保護者有志の親子。緑ケ丘小PTA会長の安部さんは「大半の親の放射能への心配は収まってきたが、まだ1割弱が反対の立場。なかなか説得は難しいが、子どもたちには貴重な経験なのでぜひ交流を復活させたい﹂と話していました。 交流再開を願う人は他にも。西根小の田植えには、月光原小の小林校長が5年連続で参加。「核家族の東京の子には、角田で2、3世代同居の大きな家にホームステイさせてもらうことがいい意味で異文化体験。角田を訪れるよさを知らない親や教師が増えていくと、交流が途絶えてしまいかねない」と言います。 「つながりを絶やしたくない」という思いは、受け入れ側の角田の農家や学校も同様。風評を払しょくするのは容易でありませんが、同じ思いを持つ仲間が東京にいるのは心強い限りです。角田と東京の子どもが再び、田んぼで一緒に汗を流す日を願ってやみません。