2013/1/1UP
新年の誓い
河北新報、そしてあんふぃにの読者の皆様、新年あけましておめでとうございます。角田支局に赴任して4度目の正月を、こうして皆様と迎えられたことを心からうれしく思います。今年もどうぞよろしくお願いいたします◆東日本大震災からの「復興元年」と呼ばれた2012年。あの日から1年10カ月近くが経過してなお、被災地は震災のさなかにあります。政治の迷走によって、遅々として復興は進みません。政党は離合集散を繰り返し、福島第1原発事故の教訓から掲げられたはずの「脱原発・卒原発」でさえ、集票ゲームの道具と化したように思います。今回の衆院選を通じて、特に中央では震災の風化が顕著であると感じずにはいられませんでした。言葉だけは躍っていたかもしれませんが、実際に候補者の口からどれだけ復興が語られたでしょうか。格差も表面化しつつあります。沿岸部と内陸部の住民の間、そして沿岸住民同士にも気持ちや経済的な面で深い溝が生まれているのは確かです。内陸に住む人は現在、震災を意識せずに生活することができるでしょう。津波被災地でも、すでに高台に家を再建して移り住んだ人がいる一方、仮設住宅を退去しなければならない数年後の生活が見通せない人も数多くいます◆私自身、反省しなければなりません。河北新報社は昨年4月、亘理郡2町を管轄する亘理支局を新設しました。これまで取材が手薄だった亘理町などに震災から約1年間お邪魔しましたが、新しい支局が置かれて以降、沿岸部に足を運ぶ数は格段に減りました。衆院選取材では角田市周辺だけでなく、名取、岩沼両市を含む宮城3区内を回り、久しぶりに被災地の現状、仮設住宅に住む人たちの様子に触れることができました。現地再建と高台移転で揺れている地域もあります。震災が現在進行形であることを思い知らされました。まだまだ寄り添い続けなければ、被災者は立ち上がることができません◆震災直後、まず内陸が元気にならなければ復興は進まないのだと、角田でも言われていました。そこには物理的な支援はもちろん、内陸の人が沿岸部のことを「忘れない」という精神的な意味も含まれているはずです。津波被災者の声を代弁し、東北以外の友人、知人に「いま沿岸はこういう状況だよ」と伝える。新年の抱負ではないけれど、今年はそんなところからコツコツ始めようと思います。私たちの小さな一歩で、風化を食い止められるかもしれません。