2012/10/1UP
傍聴席vsPC
角田市議会がインターネットを通じた動画中継を始めた。これまでも市役所1階の市民ホールに腰掛けてテレビを眺めることは多かったが、自宅で「傍聴」するのは初めてだ。9月定例会の一般質問は支局の事務室でパソコンの動画ソフトを起動し、別の仕事と掛け持ちしながら、文字通り傍らで聴いた。なるほど映像はなかなか鮮明で、ひょっとしたら音声も現場より聞き取りやすいかもしれない。また議員席の後ろに傍聴席があるため、従来は議員の表情を観察することはできなかった。中継では発言者の顔を大きく映し出してくれる(【注】これに関しては執行部席側の後ろ、つまり傍聴席の正面に大画面が新設され、問題は解消されたのではないか)◆ネットの生中継、録画映像の公開をはじめ、ケーブルテレビやコミュニティーFMの放送など、全国の地方議会でこうした動きが広がっている。直接見ることは難しくても、気軽に議会にアクセスできるのはありがたい。議会活性化、開かれた議会につながるし、若者の関心を集める手法としても有効だ。角田支局が担当している丸森町でも、以前から町議会のネット中継が導入されている。記者の立場で言うなら、角田市、丸森町両議会の日程が重なった場合、効力を発揮する。体は一つしかない。でも原稿は2本書かなければならない。そんな時は非常に助かる。三つも四つも自治体を抱えている支局はなおさらだ◆一方、物足りなさもある。臨場感という点では傍聴席に勝るものはない。議会と執行部が対峙する議場全体、カメラの注目が外れて油断している議員の姿、マイクでは拾いきれない野次、休憩中に交わされる非公式のやりとり。ライブならではの光景だ。もっとも、傍聴を楽しむためには白熱した論戦が展開されなければならないのだが。議員の気持ちとしても、カメラの向こう側にいる見えない市民を意識するより、背中に視線が直接突き刺さる方が緊張感は増すはず。張り切る議員もいるだろう◆中継はあくまでも、議会に興味を持ってもらうためのツールとして考えた方がよさそうだ。やはり最後は市役所3階へどうぞ。記者も現場に足を運んでこそ。パソコンで取材を済まそうなどと思ってはいけない。怠け癖が付かぬよう、自分に言い聞かせている。12月定例会は傍聴席でお会いしましょう。