2012/9/1UP


輝ける夏の祭典

 世界中が熱視線を注いだロンドン五輪が終わった。7月末から約半月にわたったスポーツの祭典が幕を閉じ、寝不足気味だった生活をお盆休みを使って元通りにした人も多いかもしれない。なぜか個人的には今回、観戦する側の気持ちが盛り上がらないまま、開幕を迎えた。単純に自分の中で関心が薄かったからか、抱えていた別の仕事があったからか分からないが、それは杞憂だった。始まってしまえば結局、テレビ中継にかじり付いていた◆金メダルこそ7個にとどまったものの、銀と銅を合わせた日本のメダル獲得数38個は史上最多。競技を夜通し見ることはできなくても、毎朝ニュースで日本勢の活躍が伝えられると、画面に向かって素直に拍手を送った。シドニー、アテネ、北京、そしてロンドンと、河北新報入社後に開催された夏季五輪は4回目。記者として直接現地取材に関わったことはなくても、その時々の配属先、立場から見た五輪の風景は、しっかりと目に焼き付いている◆2008年の北京では、見出しや紙面レイアウトを考える部署にいた。今大会の女子レスリングで3連覇した吉田沙保里、伊調馨両選手が4年前に連覇を果たした際、新聞の顔である「朝刊1面」を2日連続で担当した。1日目は吉田選手の金を中心に、伊調千春選手の銀、さらに競泳などで2人の銅メダリストが誕生して、日本が低調に終わった北京大会の中で数少ない「メダルラッシュ」の日となった。おまけにジャマイカのウサイン・ボルト選手がこの日、陸上男子100㍍決勝に出場し、世界新で金メダルを獲得した。これも1面級のニュース。とてもごちゃごちゃした紙面を作ってしまったのを覚えている。雪辱を誓った2日目も伊調馨選手の金のほか、銅2個、米国のマイケル・フェルプス選手が競泳で1大会最多の8冠に輝くなど、盛りだくさんの内容だったが、めりはりを付けて満足な出来栄えの紙面を作ることができた◆今回のロンドン五輪は、角田でも関連取材があった。ボートの女子軽量級ダブルスカルに挑んだアイリスオーヤマ所属の岩本亜希子選手を応援しようと、同社の角田工場で応援会が行われ、大勢の従業員が中継映像を見守った。目標にしていた入賞はならなかったが、大きな声援はロンドンまで届いたに違いない。さて、次はパラリンピック。角田市内で最終合宿を終え、臨戦態勢を整えた車いすバスケットボール男子日本代表の活躍に注目しよう。遠いロンドンに向けて角田の地からエールを送る夏は、もうしばらく続きそうだ。