2011/10/1UP
議会と住民の目
角田市ではない議会の話。近隣支局の記者が夏休みを取ったため、ピンチヒッターでお隣の議会を取材する機会が先日あった。同僚記者は「何も懸案事項はない」と判断して休暇に入ったはずなのだが、突然ドタバタが起こる羽目となり、旅先から私のところに取材依頼があったというわけだ。普段通うことのない議会を見るのは、新鮮に感じるだろう。そう思いながら傍聴席に着いた◆舞台はある町議会の9月定例会。取材に訪れた日、議長と副議長に対する不信任決議案が提出、審議された。しかも今回が初めてではなく、6月にも同様の不信任決議が可決されているというから驚きだ。決議に強制力はないため、正副議長の2人はこの日まで辞任していない。6月に決議案を提出した議員はしびれを切らせ、再提案に至ったらしい。不信任の主な理由はこうだ。2009年の町議選後、主要会派の議員が集まり、議長をはじめとするポストを誰にするか話し合った。「正副議長は2年で交代する」。そんな約束をしたのに、ほごにされたというのが不信任派の主張だ。2回目の両不信任決議案も結局、賛成多数で可決された。正副議長はこの時も続投に意欲的だった。ところが審議拒否する議員が後を絶たず、最終的に辞職するしかなかったようだ◆議場での話を聞く限り、2年交代の取り決めがあったのか分からないままだったが、少なくとも町民不在の議論であったことは間違いない。人事はデリケートな問題だから、本会議の一発勝負の投票で議長職を決めず、根回しや多数派工作を行うこと自体はあると思う。ただそういった密室での決定事項をいまさら公共の場に持ち込み、尻拭いさせるのはおかしい。町民が納得できるように説明できるはずがない。不信任派議員が「男の約束をきちんと守れ」と議長に詰め寄っていたが、あまりに幼稚すぎないだろうか。もう少しレベルの高い議論を行う場であってほしい◆角田市議会では9月11日の選挙を経て、新人1人を含む議員18人が誕生した。東日本大震災を受けて選挙カーを使わないなど、自粛型選挙に取り組んだ候補者も多く、手応えをつかみにくかったかもしれない。それでもあえて厳しいことを言わせてもらえば、名前や「地元候補の…」といった類のフレーズの連呼が、相変わらず目立った。「放射能対策やります」という公約も横並びの印象を抱いた。来年の市長選を控え、大友喜助市政に対するスタンスを明確にするだけでも、市民に有益な情報になったはず。選挙が終わったからといって市民不在にならぬよう、新議員には議会活動の透明化に努めてほしい。そのためには、有権者側のチェックと関心の目が欠かせない。