2008/12/1UP
使い道
◆…「いるかいらないかと」聞かれれば、欲しくないわけではないが、そのままもらうのも面白くない。定額給付金の話である。
◆…そもそも、何のために金をばらまくのかが理解できない。「景気対策」なのか、それとも「生活支援」か、根本にあるべき目的さえあいまいだ。景気対策とすれば、ぐずぐずしているうちに時期を逃した感がある。所得制限を国の責任で設けず市町村に丸投げした上、年収千数百万円の世帯にも交付するなら、もはや生活支援とは呼べまい。
◆…近ごろ、馬脚を現した感がある「べらんめえの親分」が、思いつきで言い出したらしいだけあって迷走するのは必然だったのだろう。
◆…大人1万2000円、18歳以下と65歳以上は8000円上乗せされ2万円。我が家では夫婦と子ども2人で6万4000円になる。パーッと旅行や買い物にでも使うのが支給側が望む「正しい使い方」なのかもしれないが、今後予想される一層の景気悪化や給料カットに備えなければと思えば、貯蓄に回すことになりそうだ。
◆…いるいらないの議論にせず、意味があるかないかを考えると、賛成する国民が少ないのは当然だ。しかも、3年後には消費税の引き上げも示唆されているのだから。100円あげて後で1000円取るようなやり口を、無邪気に喜ぶ人がいるとは思えない。
◆…総額2兆円とも言われる金を、生活困窮者対策や中小企業の支援、医療体制の改善などに使うべし
―という意見もある。ただ、選挙前の人気取りというのが本質とすれば、いくら国民が馬鹿げていると声を上げても、結局は支給の強行という結末になりそうである。
◆…さて、角田市の人口約3万3千人で計算すると、加算分を抜きに1人1万2000円として、少なくとも3億9600万円の金が下りてくる。高額所得者の中には受け取り拒否をする人もいるかもしれないが、ただ国に返すぐらいなら、市民にとって有意義な使い方をしてみてはどうだろうか。
◆…例えば、市民の拠出金でオンボロな図書館を改築したり、医師不足に対応するため、市民による独自の奨学金制度を設けたり。税金で奨学制度を設けても、ありがたみがあまりないから、金だけ借りて恩は返さず
―という結果になりがちだが、数百人、数千人の市民が出し合った金となれば、重みは全く違う。
◆…もちろん、今、困っている人は遠慮せずそのまま受け取れば良い。
だが、さしあたり不要だと考える人にとって、市民ファンドのような受け皿があれば、協力したいと考える人も少なくないのではないか。
行政が実施するのは難しいだろうから、この機会をとらえて市民団体などからさまざまなアイデアが出てきたら、面白いことになりそうだ。