2003/02/01UP


記録の陥穽(かんせい)

 支局発信の原稿に地域で行われているスポーツ記録の打ち込み作業がある。 大会主催者から記録を入手してパソコンに優勝者などを書き込むのだが、先日、ちょっと戸惑ったことがあった。男女別の記録で、すべてのデータの表記が「女子」 「男子」の順番になっている。一応、手元にあったスクラップ帳を繰ってみたが、男女別の記録の表記は男性が先になっているものばかり。敢えて女子を先に書き込んだ 大会主催者の意図があるのかな・・などとしばらく逡巡してしまった。◇男女共同参画社会の実現が叫ばれる中、小中学校の現場でも男女で順番に優劣を付けないよう、 男女混成の名簿を用いているところもある。「何事についても男子が先」という慣習に反してのものだ。生徒、児童の名前の序列ならそれも可能だろうが、男女別開催のスポーツ記録となるとそうもいかない。 完全に並記する方法がない以上、いずれかが先にならざるを得ない。「とりあえず、もらった記録の通りに打ち込もうか・・」「でも、デスクから問い合わせがあったら面倒だな・・」。 小心翼々。迷ったあげく、先例に従って男子の記録を先に打ち込ませてもらった。◇普段、何気なく使っている順序、序列の1つも、「性差」「差別」なんてことを考えたとたんに 難題へと表情を変える。「当たり前」の伏流に、どんな底意が隠れているかもしれないからだ。「なぜ男子が先なの」と正面切って問わても、常時、意識することがないだけに答えは容易には見つからない。 男女平等という理念の前には、「先例だから」なんて言い訳は決して通用しないだろう。同様の体裁をとった記録の掲載依頼が来たらどう処理しよう・・。思案は尽きない。