2002/04/01UP


街の表情豊かに

 季節の流れの慌ただしさをあらためて感じている。家財道具を満載した自家用車を駆って349号を南下したのが、 つい先日だったような気にさえなる。角田支局に赴任して1年。茶色に曇った里山が新芽に沸き、やがて雪に煙り、そして再び桜の季節を迎えた。馴染みの店ができ、知人も増えた。日々の取材活動を通し、 着実に体も心も角田の街に溶け込んでいくのを感じている。◇連載の大型企画から催しの案内、果ては休日当番医まで―。月に多い時で末{。出稿量に変動はあるものの、 多分この1年で打ち込んだ原稿は700本を下らないはずだ。 書くべきだと思いながら周囲への配慮からものにできなかった記事がある。逆に書くべきではないと確信しながら、出稿してしまったものもある。 楽しい思い出ばかりではない。苦い記憶によどんだ記事もある。 それでも、時にカメラのファインダーごしに覗いた角田の風景が、1本1本の原稿取材で知り合った人々が、新天地での生活に確実に「刺激」と「潤い」をもたらしてくれた。 ◇スポーツに情熱を注ぐ人がいる。街づくりに奮闘するグループがある。やさしさを届けようと手をつなぐ人々がいる。そんなたくさんの住民の存在が、1つ1つの取材を通し、真っ白だった「角田の地図」に書き込まれていく。 どこにでもある古ぼけた街並みさえも、豊かな光彩を放ち始める。どんな豪奢な建物も、その深い意味合いにはかなわない。来年の桜の季節まであと1年。 慣れ、親しみ始めた街並みが今度はどんな表情を見せてくれるのか。楽しみは尽きない。