2025/10/1UP


なんとかなる?

 先日、丸森町で千葉県銚子市のローカル鉄道「銚子電鉄」の竹本勝紀代表の話を聞く機会がありました。銚子電鉄の鉄道事業収入は1億円を上回るほど。阿武隈急行よりもずっと小さな鉄道会社です。 「電車屋なのに自転車操業」。竹本氏が自虐するように、阿武急以上の経営難にさいなまれてきた銚子電鉄。車掌自らビールなどを車内販売したり、敷地内の植物を販売したりするなど涙ぐましい努力を重ねてきたようですが、それでも車両の定期検査の費用が確保できなくなるほど経営が悪化していたようです。 では、どうやって生き残ってきたのか。ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、実は「副業」が大きな経営資源となっています。30年ほど前から始めたぬれせんべいの製造が大きな柱となり、現在では食品製造販売の売り上げが約5億円。帝国データバンクによる企業分類も「米菓製造」となっており、どちらが本業かもはや分かりません。 どのような会社や業種においても、成長する時代もあれば苦しむ時代があります。フィルムからヘルスケアへと事業転換した富士フイルム。仲介業務からあらゆるビジネスに多角化を図った総合商社。いずれも持ちうる技術と知見を生かして、活路を見いだしてきたのだろうと思います。 阿武急もきっとまだまだできる事があるのかもしれません。竹本氏は、ローカル線の黒字化は困難で、補助金も経済的合理性に欠けるとしつつ、それを上回る地域への経済効果・貢献を生み出すことが存在意義だと説きました。起死回生、一発逆転の手はそう見つかるわけもありません。でも、何かしてみることで見えてくるものがあるかもしれない。同じく経営環境が厳しい新聞業界の姿も重ね合わせながら、前向きになれる時間でした。
田植えを終えた市内の水田。
収穫時期が待ち遠しい。