2025/3/1UP


社会の維持費

 他県のニュースではありますが、先月末に発生した道路陥没事故。まさかの出来事とはいえ、いつどこで起こってもおかしくない事案なだけに、驚きと共に不安を抱いた方も多かったのではないでしょうか。 当該の下水道は1983年に供用開始とのこと。ちなみに角田市の下水道は、1977年度に施工が始まり、90年度に供用がスタート。施工時期で考えると、一部は40年以上経過しています。市はすでに調査を実施し、大きな問題はないと説明しています。改めて考えさせられたのは、市内総延長約129キロの下水管の維持管理。安全を保つためには一定の経費がかかるものですが、人口減少時代のなかでどこまで現状の規模でいくのか―。それは道路、電気などの他の公共インフラについても同様。日本では地方でもインフラが整っているがゆえに、頭が痛いところですね。 角田においては、阿武隈急行の維持にも費用がかかります。市は2025年度一般会計予算で、修繕費用などに充てられる緊急保全整備事業に1億6990万円、赤字を補填する運行継続支援事業に6652万円、合わせて2億円超を計上しました。単純計算で角田市民1人当たり年1万円近く負担していることになります。とはいえ「負担が大きいから廃線を!」と考えるのは短絡的なのかもしれません。 例えば、角田高校では多くの生徒たちが利用しています。もし電車通学ができなくなれば生徒数の確保が困難になり、学校の維持に黄色信号がともることも考えられます。「高校がなくなると地域は確実に消滅する」。経済界有志らの民間組織「人口戦略会議」メンバーの山崎史郎内閣官房参与は今月14日、かくだ田園ホールであった講演で言葉にしました。損得勘定で失うには余りに大きい代償になってしまう可能性があります。 ただ、損得勘定で考えてしまう世論になってもおかしくありません。物価の上がり方はこれまでに体感したことのないレベルで、野菜はもう贅沢品なのではと感じてしまうほど。そういえばガソリンも高止まりしたまま。もう慣れてしまいましたが…。 貧すれば鈍する。そんな社会にならないことを願います。
市行政区町連絡協議会の研修で行われた、
山崎内閣官房参与による講演