2022/8/1UP
吉野臥城
角田と言えば何を思い浮かべるでしょうか。まずはロケットでしょうか。西根の田んぼアートもいいですね。最近だと「道の駅かくだ」も多く挙がるかもしれません。ちなみにフードコートの味噌ラーメンは、連日売り切れのようです。
では、吉野臥城(1876~1926年)はどうでしょう。角田出身の詩人で歌人、人物評論家。ご存じない方が多いのではないでしょうか。
実は前角田支局の田村記者が、昨年8月に朝刊みやぎ県内版の連載「先人の足跡」で、その後に当欄でも取り上げました。もしかすると、以前よりは知名度が上がっているかもしれません。恥ずかしながら、私は赴任に伴う仕事の引き継ぎで初めて知りました。
吉野を巡っては、台山公園の一角に詩碑があり、「渾円球上平和の曲」の終わりの4行が刻まれています。全文は約70行の大作。現在の南アフリカにある金鉱などを巡る、イギリスとボーア人(オランダ人移民の子孫)のトランスバール共和国やオレンジ自由国との間で勃発した「ボーア戦争」について詠んでいます。そして、イギリスの武力介入を非難しています。正義心を持ち、反戦への思いを抱いた吉野。ロシアのウクライナ侵攻もあり、その詩は現代でも求められているような気がしました。
その吉野についての勉強会「吉野臥城研究会」が先日、始動しました。当初は3月ごろのスタートを予定していましたが、地震の影響で遅れていたそうです。地元角田でもその存在が忘れ去られようとしていた吉野に再び光を当て、文化的側面から角田を盛り上げていこうとの試み。私も勉強会に参加させていただきました。
勉強会は角田市の詩人西田朋さんがこれまでに集めた資料をもとに進行し、手始めに彼の生い立ちを振り返りました。詩の原点は祖母に、思想の影響は師事した内村鑑三の影響か―。時代背景なども含めて、研究する幅はまだまだ広がっていきそうな予感です。ちなみに勉強会が発足したきっかけは、田村記者の記事だったとのこと。支局を引き継いだ者として、これからの活動をしっかり伝えていきたいです。
吉野のように、角田にはまだまだ埋もれた魅力や文化があるかと思います。また、知っていても魅力に気付いていない場合もあるかもしれません。そこを支局記者として掘り起こしていくのが役目と考えています。
例えば、仙台と違い星空がきれいだなと最近感じています。宇宙のまちを掲げる角田市として十分な魅力ではないでしょうか。豊かな自然に囲まれ、仙台からも1時間かからない距離。昨今のアウトドア人気に乗って角田にもキャンプ場はいかがでしょう。隣町の丸森のキャンプ場も連休や週末は予約で埋まっているので、需要はあるのではと考えてしまいます。個人的趣味も兼ねた意見ですが…。
15日に開かれた吉野臥城研究会