2022/6/1UP



 角田市が町づくりのキーワードとしている5つの「め」。その一つに「夢」があります。理由の一つは宇宙との関わりの深さ。市内に立地するJAXA角田宇宙センターや台山公園の角田スペースタワー・コスモハウスが、科学少年たちの心をくすぐります。今年は3年ぶりに宇宙っ子まつりも開催されました。  その宇宙を仕事の舞台にするJAXAの新人職員3人が先日、角田高校で講演を行いました。内容は難しい話ではなく、高校や大学時代に何をしていたか、なぜJAXAに就職したのかなどが中心。高校3年の生徒たちに交ざり講演を聞いた私は、彼らの熱意や努力に驚くばかりでした。 福岡県出身の女性職員は、JAXAに憧れて大学へ進学。実力的に航空宇宙系学科は難しいと考えていたところ、土木系のパンフレットに小さく宇宙関連の文字を発見し、そのまま土木系を選んだと言います。ところが、あくまで宇宙関連の研究はマイナーで、想像していた研究に恵まれませんでした。それでも彼女は諦めず、自ら宇宙飛行士に接触するなど、積極的に行動。そして、念願のJAXAに就職しました。 彼女の夢は「月面基地を作る」こと。6月の配属で、地上での機器の維持管理を担うらしく、宇宙とは少し遠い業務なのだとか。しかし、「君こそはいつも万全でチャンスの最前列に居なさい」と、人気バレーボール漫画「ハイキュー‼」から引用した座右の銘を胸に、後ろ向きになっていません。転んでもただでは起きない彼女なら、いつか必ず夢を実現してくれると思いました。 さて、自分はどうだったでしょうか。中学生くらいまではサッカー選手に憧れ、深夜の海外サッカー情報番組を録画し、雑誌も毎週欠かさず見ていました。もし今の時代だったら、日がな一日ユーチューブでサッカー動画を見ている気がします。しかし、いつしか夢は夢となり、漠然と過ごしていました。 月日がたち、今は新聞記者。就職活動の中で偶然この職業を知ったことがきっかけで、その後はひそかに憧れの仕事になりました。そういう意味では私も夢を叶えた1人なのかもしれません。今は楽しく仕事をさせていただいていますので、間違った選択ではなかったと思います。 角田高校の生徒たちも講演を聞いて、どのように感じたでしょうか。まだ何も夢が浮かばない人もいると思います。しかし、いずれは何かしらの夢が出てくるのではないでしょうか。興味のある学問を究める、やってみたい仕事を目指す、温かな家庭を築く…。ささやかでも、その夢の実現、または目指すことが可能な社会環境であればと思います。 いつか角田から宇宙飛行士が生まれることを期待したいですね。おっ、新たな夢ができました。


角田高の生徒に講演するJAXAの新人職員

宇宙っ子まつりでの紙飛行機イベント