2020/8/1UP


市長選を終えて

 角田市長選が終わりました。元市議で熱日高彦神社宮司の黒須貫さんが初当選。立候補の表明を河北新報紙面で伝えたのは、5月1日付の朝刊県内版でした。掲載日の前日に神社を訪ね、本人に取材しました。その2カ月半後には支援者と歓喜の万歳をしているのですから、取材する側としては、あっという間だったという印象です。 神社での取材では、立候補の動機や公約を中心に聞きましたが、選挙報道では立候補者の人となりや経歴、周辺環境などにも触れなくてはなりません。そこで神社のことも聞きました。1900年以上の歴史があるとのこと。どれほど地域に根差した神社なのか。選挙とは関係なく気になり、過去に河北新報紙面で神社がどのように紹介されたことがあるかを調べてみました。 記事検索システムで、例大祭の模様を伝える紙面がヒットしました。みこし渡御の活気あふれる様子が記事から伝わります。さらに、2014年4月20日付の朝刊県内版に載ったこども新聞「どきどき小学生」を見つけました。県内の小学校が毎週代わる代わる紙面づくりを担当するコーナーで、この日は枝野小でした。地元に伝わる獅子舞の練習に学校で取り組んでいるとのことで、その特徴や歴史を児童たちが黒須さんに取材していました。神社は地域文化を学べる場にもなっているようです。  記事を読めば、黒須さんが児童たちに分かりやすく丁寧に説明した様子が分かります。「枝野の地に伝わる伝統芸能が学校で取り上げられ、とてもうれしい」と、インタビューを受けての感想も載っています。  児童たちは「私たちが今までなんとなく見ていた獅子舞が古くから受け継がれてきたことを知り、伝統をしっかりと受け継いでいきたいと思うと同時に、舞の意味などについても考えていきたいと思うようになりました」と記事を締めくくっていました。 地域の伝統文化や歴史、産業を児童生徒が深く学ぶ「ふるさと学習」を黒須さんが市長選の公約に掲げたのも、こうした過去の記事を読めばうなずけます。子どもたちの興味を刺激し、楽しく取り組めるようなカリキュラムを期待します。  それにしても選挙は手に汗握る激戦でした。次点となった武田暁さんとの差は616票。このわずかな票差を角田市政担当記者としてどう見るかは、7月14日付朝刊県内版の解説記事で述べたところです。選挙結果には、市民もそれぞれに何らかの感想を抱いたのではないでしょうか。  選挙は終わりましたが、新市長が迎える1期目の4年間も重要な取材ポイントです。市政運営だけでなく、次の選挙を見据えた対抗勢力の動きがあるかどうかにも目を配らなくてはいけません。そんなことを考えていると、古い新聞のスクラップを整理していて偶然見つけた29年前の記事を思い出します。1991年5月21日付の朝刊県内版で、県高校総体の有力校として角田高空手部が取り上げられていました。レギュラー選手の紹介に次のような一節があります。「二年生ながら試合勘の良い武田暁」。 4年後に向け、試合は既に始まっているのかもしれません。


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