2019/11/1UP


日常

 台風19号による大雨で被災された角田市内の方々に、心より深くお見舞い申し上げます。新聞紙上ではどうしても、道路の寸断で孤立地区が生じた丸森町が大きく扱われますが、角田の被害規模も大きいと認識しています。一日でも早く平穏な日常が戻ることを祈るばかりです。大雨の夜が明けた13日午前は角田支局も「孤立」しました。周辺の道路が泥水に漬かっており、角田市内や丸森方面の被害を確認しに行こうにも車を出せません。思い切って水の中を進んでも、どの道も水がだんだんと深くなり、仕方なくUターンしました。とりあえず車で丸森方面へ行くのは諦めざるを得ません。長靴で水の中を歩き、周辺の被災状況を調べることにしました。市役所では市長や総務部長に、かくだ田園ホールでは避難者にそれぞれ取材し、小田川周辺の被害が大きいと知りました。市役所から戻る途中、驚かされました。駐車場まで水没しているセブンイレブンが営業していたからです。ここぞとばかりに食料や水を買い込み、店長さんと少しお話ししました。丸森の出身で、どうやら地元地区の被害が大きいとのこと。自分自身や車の安全は守りつつも、何とかして丸森には行かなくては、と感じました。その後は浸水した道を自転車で走り回り、何とか国道113号への抜け道を発見。車に乗り換え、丸森へ向かうことができました。道すがら目に入ったのは、小田川に近い裏町や野田地区の浸水です。市役所や田園ホールで聞いた光景が広がっていました。住民の恐怖や不安を思うと今でも胸が痛みます。丸森町役場の周辺が浸水で孤立していることは事前にテレビで知っていました。まずは丸森全域の被害状況を知るために、何とかして役場に入らなくてはいけません。いい方法はないかと巨大な水たまりの周辺を歩きながら考えていると、ボートをこいで役場方面から来る外国人を見つけました。すかさずヒッチハイクし、役場へ到着。ここから丸森での災害報道という長い仕事が始まりました。 角田支局には毎日夜遅くに帰れてはいますが、連日の丸森入りで、角田の取材からは遠のいています。スケジュール表の10月13日以降には、羽生結弦の田んぼアート稲刈りなど、角田での取材予定がたくさん記入されていました。それらの予定は残念ながら全て「丸森災害取材」に書き換えられています。台風災害の以前は、読者から「最近は新聞に角田の話題が増えた」とありがたい言葉をいただくことが多かったのに、今は期待にこたえらなくなり、無力感でいっぱいです。角田のニュースをたくさん読めるという日常が一日でも早く戻るよう願いつつ、災害報道に取り組みます。


10月13日・角田市役所周辺の様子

10月13日・角田市民センター周辺の様子