2018/9/1UP


姫ごと

 「かくだふるさと夏まつり」で牟宇姫パレードが華やかに行われました。市制60年と牟宇姫の石川家輿入れ400年の記念行事で、3年前から試行し、今年が本番です。牟宇姫が数え12歳で結婚したのにちなみ、市内の小学4~6年生の女の子たち15人が牟宇姫役を務め、山車に乗ってパレードしました。えずこホールで活動する仙南の児童劇団「AZ9」の司会も良かったです。  姫といえば、平成の歌姫・宇多田ひかるのデビュー20周年アルバムがお気に入りです。宇多田ひかるは本当に歌詞が素晴らしい。言葉の一つ一つが吟味を尽くされ、他に代えがたい。ぎゅっと凝縮されて、これ以上でも、これ以下でもなく適切な言葉が使われていると思います。1曲目「Play a Love Song」の歌詞、「悲しい話はもうたくさん Can we play a love song?」を、今の時代に重ね合わせて聴いています。世界は分断の社会、外に敵をつくり、人の敵がい心をあおることで、トランプ大統領のような権力者が自らの地位を保とうとする傾向が広がっています。こんな時代だからこそ、誰か他人でなく、私たち自身がラブ・ソングを歌っていくべきでないでしょうか。宇多田ひかるは社会的なテーマを正面から取り上げる音楽家ではありませんが、等身大の言葉ゆえに誰にも共通して伝わるのでしょう。  姫と言って適切かどうかですが、皇后美智子様は、何より平成の象徴の姫です。天皇陛下が戦地の慰霊と被災地の慰問に力を注いでこられましたが、それを支えてきた美智子様のお力はただならぬと思います。とある取材で、昔水害にあった兵庫県豊岡市長の講演を聞いたのですが、「首相や閣僚など多くの人が被災地を訪れたが、みな土足だった。天皇陛下と皇后様だけが、靴を脱いで被災者と接せられた。みんながそれを見ていた」とのエピソードを披露していました。皇室の帝王学の一端を垣間見た気がして、非常に感銘を受けました。  大小ともあれ、時代や地域などさまざまな場での象徴が、姫です。角田の夏祭りの牟宇姫たちも「1年後の自分」というテーマで、「お手伝いをたくさんする」「助産師になりたいので勉強頑張る」など、それぞれ素晴らしい夢を発表していました。角田の未来をリードする姫に育ってほしいです。


金津七夕

牟宇姫パレード