2008/1/1UP


新年に思う

 ◆…角田市民の皆さま、あけましておめでとうございます。いつもつたない文章に目を通してくださり、ありがとうございます。 取材先で初めてお会いした方に自己紹介すると、「ああ、あのチラシに書いている人?」と声を掛けられることが多くなりました。日記やメモとは異なり、読んでもらうために書く文章である以上、反応があるというのはうれしいものです。 ◆…支局に赴任してもう三回目のお正月を迎えました。「角田ってどんなところ」と聞かれた場合、「一言で表現するなら『ぬるま湯』です」と答えるようになりました。旧態依然とした組織を批判する際にも使われる言葉ですが、 私は悪い意味だけで言っているのではありません。比較的穏やかな気候で、風水害の被害も少なく、平たんな農地と大きな誘致企業がある。スポーツ施設や図書館を持ち、買い物をする場所もそれなりに整っている。物足りなさはあるけれど、すべてがほどほどという、 「良い湯加減」との意味も込めているのです。◆…ですが、最近気になるのは、このお湯がずいぶん冷めてきたのではないかということです。農業は産業としての力をなくし、頼みの誘致企業も、ある日突然、どこかへ移転するかもわからない。 数千人単位の人が市を出る事態になれば、まちの存続自体難しいでしょう。基幹産業とされる農業には、残念ながら三万三千の人口を養う力はありません。風呂場の土台自体、崩れかけた状態であると見るべきなのです。 ◆…日本全体としても、終戦から半世紀以上経ち、先人の苦労のおかげで私たち若い世代は、少なくとも衣・食・住の心配だけはしないで済むようになりました。次に必要になる医療と教育も、時間という縦軸、 世界という横軸の両方を見れば、多くの問題はあるにせよ、まだ恵まれた状態にあるというべきでしょう。ですが、五十年後の世界は違います。人口爆発と世界的な生活水準向上で、食糧、資源、エネルギー、水を奪い合う、 恐ろしい時代がやってきそうです。◆…新年早々、暗い話題を持ち出してしまいましたが、社会を動かすのは結局は人の力。それは政治という形で結集されます。衆院選に米大統領選と今年は大きな選挙が続く年になりそうですが、 市民にとっては何といっても市長選が重要です。これから半世紀の角田をどうするのか、市制施行以来の転換点として、最も重みのある選挙になると考えています。冷めかけた湯にまきをくべ、崩れかけた土台を全面的に改修することができる人物が求められことでしょう。 ◆…昨年の市議選取材では、「あの人は親戚が多いから大丈夫」だとか「あの地区は固いから決まり」などという声が聞こえました。政策うんぬんよりも、親戚や近所づきあいを優先する風土があるように感じられ、残念でした。 今度の市長選では、そんなことはもうやめにしましょう。何と言っても、ぬるま湯が冷や水に変わりかけているのですから。地縁、血縁なんかには「そんなの関係ねぇ」と言い放ってみませんか。 ◆…願わくば、これからもずっと、角田が春の日だまりのような温かなまちでいられるように。今年も精いっぱい、記者として動き回りたいと思います。そして、「あんふぃに、楽しみにしているよ」と言ってもらえるよう、 頑張る所存ですので、本紙ともども引き続きご愛読をお願いいたします。